
双極性障害と正社員という働き方
双極性障害を抱えながら社会で働くことは、多くの人にとって大きな挑戦です。特にフルタイム正社員という形態は、安定した収入や社会保障がある一方で、長時間勤務や責任の重さが心身に負担をかけることも少なくありません。実際、双極性障害を持つ方の多くが「正社員として働き続けること」に悩みを抱えています。
データから見る就労状況
「すまいるナビゲーター」が実施したアンケート(第5回『仕事について』、2015年1月〜2017年5月、209名を対象にインターネット調査)によると、現在仕事をしている人は全体の約66%(141人)で、そのうち正社員として働いている人は56人(36%)にとどまっています。その他はパートやアルバイト(54人、35%)、派遣・契約社員、自営業などが含まれており、働き方の多様さが数字に表れています。(出典:すまいるナビゲーター)
このデータからも、正社員という働き方が双極性障害を持つ方にとって簡単な道ではないことがわかります。
正社員で働くメリットと難しさ
正社員という立場には、やはり大きな安心感があります。収入が安定していることで生活の基盤を整えやすく、社会保障制度も手厚く利用できます。また、キャリア形成の面でも評価されやすいポジションです。
しかし同時に、決まった時間に出勤し続けること、急な休養をとりづらいこと、仕事量や責任の重さにより体調の波が影響を受けやすいといった難しさがあります。躁状態のときは過集中して働きすぎてしまい、うつ状態になると出勤すら困難になるという波を経験する方も多いでしょう。そのため、正社員であることが「安心」と「プレッシャー」の両面を持つのです。
続けるための工夫
正社員として働き続けるためには、いくつかの工夫が大切です。例えば、
- 主治医と定期的に相談し、働き方に合った治療方針をもつ
- 勤務先と配慮について話し合い、休暇制度や時短勤務制度を利用する
- 無理をせず、体調の波を前提にした生活リズムを整える
こうした工夫によって、少しずつ長期的に働き続けられる可能性が高まります。もちろん環境や職場文化によっても左右されるため、自分に合った職場を見つけることが重要です。
実際に働く人たちの声
今回は、双極性障害を抱えながら正社員として働いている方々のブログを紹介します。それぞれの体験からは、悩みや困難だけでなく、自分らしく働き続けるための工夫や前向きな思いが伝わってきます。
- 復職3年、ブログをはじめて1年
職場復帰を果たしてからの日々を綴った体験記。実際の生活感がリアルに伝わってきます。 - フルタイム正社員きつい
フルタイム勤務の厳しさや、体調と仕事のバランスの難しさについての記録です。 - 躁鬱アラサー独女は正社員で働きたい
「働きたい」という思いと、実際の体調管理との狭間で葛藤する様子が率直に書かれています。
双極性障害を抱えながら正社員として働くことは簡単ではありません。しかし、同じように悩みながらも日々働いている方々の声を知ることで、自分に合った働き方を考えるヒントが見つかるかもしれません。
