
不登校の子どもの学びをどう保障する?学校以外で学ぶ9つの選択肢
「不登校は問題ではない」と言われるようになった一方、
不登校の子どもたちの学ぶ機会が失われていることが問題視されるようになりました。
文部科学省の令和6年度調査では、小中学校の不登校児童生徒は35万3,970人。このうち13万5,724人は、学校内外の機関等による専門的な相談・指導を受けていませんでした。
今、不登校当事者・保護者が相談先とつながることに加え、子どもに合った学習の機会を確保することが求められています。学校に通っていない間、どこで、誰と、どのように学ぶ選択肢があるのでしょうか。
この記事では、公的な支援から家庭でできる学習まで、9つの方法を整理します。
この記事でわかること
✓ 学校以外で学ぶ9つの方法
✓ 出席扱いと成績評価を学校に相談する方法
なぜ、学びの場が必要なのか
不登校中の学習について、「学校の授業に遅れないようにしなければ」と焦る人は多いです。
しかし、「学校の進度に遅れないこと」を勉強の目的にしていないでしょうか。
・文章を読んで必要な情報を見つける。
・相手に伝わる言葉、表現を知る。
・お金の使い方を考える。
・わからないことを調べ、困ったときに人に相談する。
こうした力こそが子どもたちが生きていく力になります。
そのために必要な学びは、子どもによって違います。教科の学び直しが助けになる子もいれば、まず安心できる場所で人と関わったり、好きなことに取り組んだりすることが次の一歩になる子もいます。
ですから、学びの場を、「学校と同じ勉強を、同じペースで進められるか」だけで選ぶ必要はありません。今の子どもにどんな経験や支えが必要かを考えると、相談先や学ぶ場所も探しやすくなります。
学校以外で学ぶ7つの選択肢
学校に通っていない間も、子どもに合った学び方を選べます。学校以外で学ぶ方法には、以下のような方法がありません。
それぞれの特徴と、利用前に確認したいことを順番に見ていきましょう。
① 学校の教材を使って自宅で学ぶ
在籍校から教科書に沿ったプリントやワークを受け取り、自宅で取り組む方法です。学校によっては、授業のオンライン配信や、学校で使用している学習用アプリを利用できる場合もあります。
新しい教材を探す前に、まず学校に「家で使える教材はありますか」と聞いてみるとよいでしょう。担任に直接相談しづらい場合は、学年主任や教育相談担当の先生を通じて確認する方法もあります。
一方で、学校から渡された課題の量が、今の子どもに合うとは限りません。取り組むのが難しそうなら、提出期限や量を相談してかまいません。「まずは得意な教科を週に少しだけ」といった始め方もできます。
学校に聞いてみたいこと
教材の受け取り方/わからない問題の質問方法/課題の量や提出方法/授業配信の有無
② 教育支援センターを利用する
教育支援センターは、自治体の教育委員会などが設ける、学校外の相談・支援の場です。地域によっては「適応指導教室」「子ども支援室」など、別の名前で案内されています。
教科の学習だけでなく、相談、体験活動、人との交流などを行う施設もあります。「勉強を教わる場所」と決めつけず、子どもがそこでどのように過ごせるかを確認することが大切です。
文部科学省の資料では、令和6年度の教育支援センターは全国に1,743か所あります。ただし、施設の場所や活動内容、利用できる曜日は地域ごとに異なります。
教育支援センターを利用するまでの流れ
1.相談する
在籍校、または自治体の教育相談窓口に連絡します。
2.施設について確認する
対象年齢、場所、開室日、活動内容、見学方法を聞きます。
3.見学や面談をする
子どもと保護者が施設を見学し、利用について相談します。体験通室を行う地域もあります。
4.利用を始める
通う頻度や学校との連絡方法を確認します。
これは一般的な流れです。申し込み先や必要な手続きは自治体によって違います。子どもがまだ見学に行けない場合は、保護者だけで先に相談できるか尋ねてみてください。
例えば新潟市の「子ども支援室」では、教育相談、学習支援、体験活動を行っています。ぐみの木教室の東区・西区分室では、利用前に本人と保護者の面接、見学、通室体験が必要です。新潟市は、家庭などを訪問する教育相談も案内しています。新潟市・教育相談センター/ぐみの木教室の案内
近くの施設を探すときは、「自治体名 不登校 教育支援センター」で検索してみてください。見つからなければ、「教育相談室」「適応指導教室」でも探せます。
③ フリースクールを利用する
フリースクールは、学校以外で子どもが過ごし、学ぶことのできる民間の施設です。
教科の勉強に力を入れるところもあれば、遊びやものづくり、外出、仲間との交流を中心にするところもあります。同じ「フリースクール」という名前でも、過ごし方は施設ごとにかなり違います。
子どもにとって大切なのは、その場所で安心して過ごせるかどうかです。資料だけで決めず、可能であれば見学し、本人の感想を聞いてみましょう。保護者だけで先に見学できる施設もあります。
見学時に確認したいこと
普段の活動内容/教科学習への対応/費用/通う頻度/在籍校との連携や活動記録の共有方法
「勉強を進めたい」という希望が強い場合は、その施設でどこまで学習を支援してもらえるか、具体的に確認することが大切です。
④ 学習塾・個別指導塾を利用する
教科の内容を学び直したいときや、進学に向けて勉強したいときは、学習塾も選択肢になります。
集団授業が合う子もいれば、自分のペースで質問できる個別指導のほうが取り組みやすい子もいます。通塾が難しい場合は、オンラインで受けられる個別指導を探すこともできます。
塾を選ぶ際は、「今の学年の授業についていけるか」よりも、つまずいたところまで戻って教えてもらえるかを確認するとよいでしょう。また、授業時間や宿題の量を調整できるかも大切なポイントです。
ただし、塾によっては学校の授業を受けていることを前提に進む場合もあります。不登校中であることや、どこから学び直したいかを入塾前に伝えておくと、合うかどうか判断しやすくなります。
⑤ 家庭教師を利用する
家庭教師は、子どもの状況に合わせて一対一で学習を進められる方法です。自宅に来てもらう訪問型のほか、画面越しに教わるオンライン型もあります。
「学校のワークでわからないところだけ聞きたい」「前の学年の算数からやり直したい」など、学ぶ内容を個別に相談しやすいのが特徴です。家から出ることが難しい子にも、取り入れやすい場合があります。
一方で、一対一でも初対面の大人と話すことが負担になる子はいます。最初から長時間の授業を組まず、体験授業や短い時間から始められるか確認してみましょう。
不登校に対応したオンライン個別指導という選択肢
オンライン家庭教師・個別指導の一例として、不登校専門のティントルがあります。
ティントルは、前学年に戻った学び直しや受験対策に対応すると案内しています。子どもの状態に合わせて、授業内容を決められるのが特徴です。
小中学生向けの「ホームスクーリングコース」では、学習状況を記録し、学校に提出する流れも案内されています。ただし、利用すれば必ず出席扱いになるわけではありません。最終的には学校長が判断するため、希望する場合は申し込み前に在籍校へ相談してください。
⑥ 通信教育・動画・学習アプリを使う
通信教育や学習動画、アプリは、家で好きな時間に取り組める方法です。短い動画を一本見る、問題を数問だけ解くなど、その日の調子に合わせて始められます。
人と話すことにまだ負担がある子にとっても、学習への入口になり得ます。学年をさかのぼれる教材なら、わからなくなった単元からやり直すこともできます。
ただし、教材を用意するだけで、自然に学習が進むとは限りません。本人が興味を持てる内容かを確かめ、最初は量を少なくするほうが続けやすいでしょう。
学校とのつながりを保ちたい場合は、どの教材で何を学んだかを簡単に記録し、在籍校と共有する方法もあります。
⑦ 好きなことから探究・体験を広げる
学びは、教科書や問題集を開くことだけではありません。
好きな動物について図書館で調べる。料理をしながら分量を量る。ゲームをきっかけに英語を調べる。博物館へ行き、気になったことを後から調べる。そうした経験から学びが広がる子もいます。
特に、勉強への苦手意識が強いときは、「何を知りたいか」「何を作りたいか」を出発点にすると、本人のペースを大切にできます。
学校と学習内容を共有したい場合は、読んだ本、作ったもの、調べたことを写真やメモで残しておくと伝えやすくなります。記録すること自体が負担になるなら、無理に毎日続ける必要はありません。
学校外の学びは出席扱い・成績評価になる?
小中学生の場合、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けた活動や、自宅でICTなどを使って行った学習が、一定の要件のもとで指導要録上の出席扱いになることがあります。欠席中に行った学習の成果を、学校が成績評価に反映できる仕組みもあります。
ただし、出席扱いと成績評価は別の判断です。また、塾やフリースクールを利用すれば自動的に認められるわけでもありません。
希望する場合は、利用を始める前に在籍校へ「どのような学習計画や記録を共有すればよいか」「出席扱いや成績評価について相談できるか」を確認しましょう。
学校外の学びは出席扱い・成績評価になる?
小中学生の場合、学校外の公的機関や民間施設での相談・指導、自宅でICTなどを活用した学習について、一定の要件のもとで指導要録上の出席扱いが可能です。
2024年には、欠席中の学習成果を学校が成績評価する仕組みも明確化されました。
ただし、塾に通えば自動的に出席扱いになる、という制度ではありません。出席扱いと成績評価は別の判断です。利用を始める前に、在籍校へ「学習計画や記録をどのように共有すればよいか」「出席扱いや評価について相談できるか」を確認してください。
まとめ:今の子どもに合う入口を一つ選ぶ
外に出て人と過ごしたいなら教育支援センターやフリースクール。自宅で教科を学び直したいなら教材、家庭教師、オンライン個別指導。関心が向くものから始めたいなら、読書や体験活動も入口になります。
最初の一歩は、在籍校に教材や校内の居場所を尋ねるか、自治体の教育相談窓口に地域の選択肢を聞くこと。子どもの様子に合わせて、学び方は後から変えていけます。
※この記事は主に義務教育段階の小中学生を対象としています。高校の出席・単位認定は学校の課程や規定が異なるため、在籍校に確認してください。統計は令和6年度調査、制度・各施設情報は2026年9月時点で確認しています。






