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放送大学だけなぜ除外?「学割目当ての学生がいる」という説を冷静に考えてみる

放送大学生は「学割目的の幽霊学生」なのか?2万4000円払って入学する意味を考える

放送大学の学生が、ある学生向けイベントの対象外とされたことで話題になりました。

この件をきっかけに、ネット上では「放送大学には学割を目的に入学する人がいるのでは?」という意見も見かけます。

でも、本当にそうなのでしょうか。

そもそも放送大学に入学するには、出願や入学料の支払いなど、一定の手続きが必要です。

そこで気になるのが、「学割を使うためだけに、わざわざ大学へ入学することに本当に大きなメリットがあるのか?ということ。

この記事のポイント

✓ 放送大学の学生が対象外となったイベントについて整理

✓ 学割目的で入学する場合の費用を考える

書泉グランデが放送大学を対象外にしたことで話題になった

今回話題になったのは、東京都千代田区にある専門書店「書泉グランデ」です。

運営しているのは株式会社書泉で、1950年に設立された書店です。書泉グランデのほか、秋葉原の「書泉ブックタワー」や「芳林堂書店」なども運営しています。

2026年9月、書泉グランデでは「訳あり本フェア」の学生限定プレオープンについて、学生証を提示すれば参加できるという案内を出していました。

ところが、その案内の中に「放送大学の学生証は対象外」とする記載がありました。

この対応をめぐって、放送大学生を含む「働きながら学ぶ学生」から疑問の声が上がることになります。

今回のポイント

「放送大学生を対象外にした」という事実と、「なぜ対象外にしたのか」という理由は分けて考える必要があり、今回放送大学生が除外された理由は述べられていません。

その後、書泉側は公式Xで、放送大学をはじめ働きながら学ぶ学生に不快な思いをさせたとして謝罪しました。その後は参加対象学生の変更も公表しています。

この一件をきっかけに「放送大学には学割を利用するために在籍している人がいるのではないか」という意見が出ています。この通称幽霊学生は本当にいるのでしょうか。

しかし、少なくとも公開された書泉の謝罪文からは、「学割目的の学生がいるから放送大学を対象外にした」という理由までは確認できません。

放送大学の入学料は「無料」ではない

まず前提として考えたいのは、「学割目的で放送大学に入るのは本当に得なのか」ということです。

放送大学の教養学部では、学生種によって入学料が異なります。

全科履修生

24,000円

卒業を目指して学ぶ

選科履修生

9,000円

1年間在籍

科目履修生

7,000円

1学期間在籍

つまり、学割だけを目的にする場合でも、最低でも7000円支払う必要があります。全科履修生なら入学料として2万4000円が必要です。

さらに、出願手続きや入学料の支払い、履修登録、学生証の発行など、大学生として在籍するための手続きは必要になります。

そして、授業を受ける場合には別途授業料が必要です。例えば放送授業は、1科目2単位で1万2000円です。放送大学では学費納入がない期間が4学期間続くときに除籍となるため、3学期は履修0でも在籍することができますが、わざわざそのようなことをして学割で得をしようと考える人は果たしてどのくらいいるのでしょうか。

実際に計算してみました。学割をフル活用すると、どこまで得になる?

では、仮に学割を利用することを目的の一つとして放送大学に入学した場合、本当に金銭的なメリットは大きいのでしょうか。

例えば、音楽配信サービスや動画配信サービスには学生向け料金が設定されているものがあります。映画館や美術館などでも、多くの施設で学生料金が設定されています。

普段からこうしたサービスを利用している人であれば、学生証によって支出を抑えられる可能性はあるでしょう。

では、実際のところ、放送大学の入学料24,000円を、学割だけで回収することはできるのでしょうか。

今回はかなり単純化して、「学生になったことで、1年間にどれだけお金が浮くのか」を計算してみます。

計算方法

1年間で学割によって安くなった金額と入学料24000円との差額を計算します。安くなった金額が入学料を超えれば得したと考えます。

想定するのは、この4つ

今回は、これら4つの学割を活用する学生を想定してみます。そして、この学生は何も履修していない(幽霊学生)としましょう。

項目 学生になって得する金額 1年間の得
Amazon Prime 月300円 3,600円
Spotify 月500円 6,000円
YouTube Premium 月500円 6,000円
映画 1回500円
(月1回)
6,000円
合計 月1,800円 年間21,600円

※料金は2026年9月時点で確認できる情報をもとにした試算です。YouTube Premiumの料金はプランや契約方法などによって異なる場合があるため、ここでは学割による差額を月500円として計算しています。映画は一般2,000円・大学生1,500円の例をもとに、1回500円の差として計算しています。

年間で21,600円。では、24,000円の入学料は?

4つの学割を毎月しっかり使った場合、年間で浮く金額は21,600円になりました。

1年間で浮く金額と入学料の差

21,600円

入学料 24,000円

−2,400円

→ 学割だけでは、入学料24,000円に届きません

つまり、この条件では、1年間に24,000円の入学料を完全に回収するところまでは届きません。

2年間で学割によって浮く金額

43,200円

36,000円

7,200円お得

※入学料24,000円+1科目の授業料12,000円=36,000円

仮に2年間で考えると7200円の得でした。
とはいえ、入学手続きなどの手間まで考えると、学割だけを目的に入学するほどのメリットはあるのでしょうか…。

それでも「学割目的で入学する人」はいるのだろうか

ここまで計算してみると、学割をかなり積極的に利用しないと、入学料24,000円を1年間で上回らない、ということがわかります。

もちろん、今回取り上げた4つ以外にも、学生証を使えるサービスはたくさんありますので、サービスによってはかなり得をする可能性もあります。

反対に、Amazon Primeしか使わない人、音楽配信サービスを利用しない人、映画館にほとんど行かない人であれば、学割によって浮く金額はもっと小さくなります。

少なくとも「学生になればいろいろ安くなるから、24,000円くらいすぐ元が取れる」というほど単純な話でもなさそうです。

放送大学では、在学生数として約8万人が公表されています。一方で、大学が公開している統計からは、「在籍しているものの、その学期に科目登録をしていない学生」が何人いるのかまでは分かりません。

まとめ:24,000円を払って「学生になる」ことをどう考えるか

今回、Amazon Prime、Spotify、YouTube Premium、そして月1回の映画を例にして、学生料金によって浮く金額を計算してみました。

今回のモデルケース

年間 21,600円

学割によって浮く金額

一方、放送大学の全科履修生の入学料は24,000円。

その差は、2,400円でした。

もちろん、これはあくまで一つのモデルケースです。

実際には、どんなサービスを使うのか、映画にどれくらい行くのか、ほかにどんな学生割引を利用するのかによって結果は変わります。

 

”学割だけのために、24,000円を払って大学に入学する”

 

放送大学に入学するには、出願をして、学費を納入し、学生として在籍する必要があります。

その手間をかけてまで得たいと思うほど、学割に魅力を感じる人もいるかもしれません。ですが、今回の計算を通して、いたとしてもかなり少数なのではないかと思いました。

放送大学には、「学ぶ」という本来の目的があります。

大多数の学生が、学ぶ意欲を強く持って放送大学に入学しています。
でなければ、忙しい仕事の合間を縫ってまで学ぼうとは考えないでしょう。

「学割目的で入学する人がいる」という根拠のない情報に惑わされず、リアルな数字で現実を捉えていきたいところです。

 

 

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