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双極性障害と診断されるまで平均10年?自己診断のリスクと本当に悩む人の体験談

「双極性障害」を公表する人が増えている今だからこそ伝えたいこと

ここ数年、SNSやブログなどで「自分は双極性障害です」と公表する人を目にする機会が増えてきました。メンタルヘルスに関する情報が広く共有されるようになったことは大切な一歩ですし、「生きづらさ」を言葉にできるようになった社会の変化は喜ばしいものです。けれども一方で、本当に双極性障害と診断されるには、非常に長い時間と慎重な観察が必要とされることをご存じでしょうか。

双極性障害とは?

双極性障害(そうきょくせいしょうがい、かつては躁うつ病と呼ばれていました)は、気分の波が極端に大きく変動する精神疾患です。

  • 躁状態:気分が高揚し、エネルギーが異常に高まり、睡眠がほとんどなくても活動できたり、アイデアが次々と湧いてきたりします。時には浪費や攻撃的な行動にまで発展することもあります。
  • うつ状態:反対に、気分が極端に落ち込み、無気力になり、日常生活が立ち行かなくなるほどの状態に陥ります。

この「躁」と「うつ」が周期的、あるいは不規則に繰り返されるのが双極性障害の特徴です。

診断が難しい理由

双極性障害の診断が難しいとされるのは、その症状が一見「うつ病」と似ているからです。実際、多くの方が最初は「うつ病」と診断され、長い年月をかけてようやく「双極性障害」と訂正されるケースが少なくありません。

躁の期間は短く、周囲からは「元気そう」「調子が良い」程度に見えてしまうこともあり、患者本人も病気だと自覚しにくいのです。そのため、精神科医が気分の変動のパターンを時間をかけて丁寧に観察し、過去のエピソードも含めて総合的に判断する必要があります。

複数の研究では「双極性障害の診断には平均して8〜10年近い時間がかかる」と報告されています。これは決して誇張ではなく、多くのケースで実際に起こっている現実です。

自己診断のリスク

インターネット上に豊富な情報がある今、自分の症状を検索し「自分も双極性障害なのではないか」と感じる人が増えているのは自然な流れです。しかし、そこで「自分は双極性障害だ」と公表してしまうことにはリスクがあります。誤った自己診断は、適切な治療の遅れにつながるだけでなく、場合によっては病気に対する誤解や偏見を広めてしまう可能性もあるからです。

だからこそ大切なのは「きちんと専門医の診断を受けること」。診断に時間がかかることは事実ですが、その長い観察こそが、的確な治療にたどり着くための必要なプロセスなのです。

長い年月を経て診断に至った方の体験

今回、私が紹介したいのは「双極性障害」と診断されるまでの過程を綴っているブログです。

👉 双極性障害と診断されるまで|転院2回|1年4ヶ月の経緯
記事を読む
最初はうつ病と診断されつつも症状が安定せず、転院を繰り返しながら1年4ヶ月後に双極性障害と確定。葛藤と模索の過程が丁寧に描かれています。

👉 双極性障害という診断を受けるまでに得たものと失ったもの
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診断に至るまでの生活の変化や人間関係での失敗と学びを振り返りつつ、病気を通じて得た気づきや前向きな姿勢について語られています。

👉 【体験談|双極性障害Ⅱ型】躁うつの波と向き合う、つきあう:とある患者さんの20年の歩みから
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20年にわたり躁うつの波に苦しみながらも、仕事や生活をどう調整してきたかを記録。長期的な視点で病気と生きる姿勢が伝わります。

👉 双極性障害と診断されるまで〜診断されてから現在〜
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診断に至るまでの心の揺れと治療過程を振り返りつつ、診断確定後に感じた安心感と、その後の生活での変化が率直に綴られています。

👉 双極性障害と診断されるまでの苦悩と解放
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診断を受ける前の混乱や周囲との不和など苦悩の時間を経て、正しい病名がついたことで得られた解放感や前進するきっかけが描かれています。

まとめ

双極性障害は、気分の変動が人生全体に影響を及ぼす大きな病気です。その診断には長い年月と、専門家の丁寧な観察が欠かせません。もしあなたが本気で悩んでいるなら、まずは専門医に相談し、焦らずに時間をかけて向き合うことが大切です。そして、これからご紹介する体験談は、その道のりを歩んできた人の生の声として、きっと大きな示唆を与えてくれるはずです。

出典一覧

  1. 日本うつ病学会「双極性障害(躁うつ病)について」

    https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mdd/patient/bipolar.html

  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット「双極性障害」

    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html

  3. Hirschfeld RM, Lewis L, Vornik LA. Perceptions and Impact of Bipolar Disorder: How Far Have We Really Come? Results of the National Depressive and Manic-Depressive Association 2000 Survey of Individuals with Bipolar Disorder. J Clin Psychiatry. 2003;64(2):161–174.

  4. 日本うつ病学会「双極性障害治療ガイドライン 2020」

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